ブドウ糖と果糖の違い

①ブドウ糖
ブドウ糖は小腸から吸収された後、血液中に入り、全身の細胞に運ばれエネルギーとして利用され、余った分が中性脂肪となって貯蓄されます。

-ごはんやパン、麺類、イモ類などに多く含まれ、脳の唯一のエネルギー源であり、全身の細胞を活性化するエネルギーとなる。

②果糖
果糖は、ほとんどが肝臓で代謝されるため直接は血糖を上げない。しかし、肝臓で中性脂肪などに変換され、余分なものが脂肪として貯蓄される他、脂質異常症を引き起こす。

-果糖は果物や蜂蜜に含まれている。


ぶどう糖と果糖を摂取した後では、満腹感が違う?

①ブドウ糖
ブドウ糖を摂取すると、インスリンや血糖値を上昇させ、食欲を抑えるグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)の分泌が増加して、食欲を刺激するグレリンというホルモンの分泌を抑えます(本連載の第1回も参考にして下さい)。ですから、ぶどう糖を摂取すると満足感を得て、それ以上は食べものを欲しません。

②果糖
果糖は、インスリン分泌の刺激が弱く、血糖値も直接的には上げない。さらに、GLP−1の分泌も増えず、グレリンの産生が抑制できない。結果、果糖を摂っても満腹感が得られず、また空腹感が減らず、食べものを欲したり食べ過ぎたりする可能性がある。

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こうした食欲をコントロールしているのが、摂食中枢と満腹中枢が存在する脳の視床下部。

視床下部と、さらに脳内報酬系が連携して、空腹感や満腹感を調節している。

ラットの実験で、果糖を脳に注入すると食べものを探し始め、ぶどう糖を注入すると食べものの摂取が減ることが証明されてきた。

また最近、イェール大学の研究者たちが、新しい脳機能イメージング法を利用して、ぶどう糖と果糖の摂取後の脳の活性化の違いを調べた。対象は、健康な成人ボランティア20人(平均年齢31歳)。この結果、ぶどう糖の摂取後は食欲が減少したのに対して、果糖ではこのような反応は起こらなかった。
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2種類の果糖

①果物や野菜などに含まれる自然な果糖
果物や野菜に含まれる果糖は、食物繊維などの作用でゆっくり吸収される。また、果物や野菜にはビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富に含まれている。

→果物や野菜などの自然な果糖を適量摂取するのOK

②加工食品や清涼飲料水に含まれる果糖
「異性化糖」という形で摂取することが多く、大量の果糖を一気に摂取する心配がある。

→異性化糖入りの飲み物や加工食品の摂り過ぎには要注意!

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 清涼飲料水には異性化糖が12%程度含まれています。すなわち500mlペットボトル中に約60g。一気に大量の糖を摂取することになり肥満への近道です。子どもの肥満が深刻な米国では、学校の自動販売機から高カロリーの清涼飲料水は撤去されました。米国プリンストン大学の研究者たちは、グラニュー糖を摂取したマウスより、同量の異性化糖を摂取したマウスで著明な体重増加があったことを報告しています。他にも多くの研究者が、異性化糖が肥満、高血圧や糖尿病などの原因であると報告しています。私たちが、果糖を果物や野菜から摂取(リンゴ1個に含まれる果糖は約16g)しても、同時に食物繊維やビタミン・ミネラルなど生命に重要な栄養素も摂取しますので、果糖の悪影響は緩和されます。しかし異性化糖を用いた清涼飲料水では、果糖の悪影響だけが体を直撃します。
(大西睦子ハーバード大学リサーチフェロー)

アメリカにおけるフルクトース・コーンシロップの販売高とメタボの増大の推移は、見事にパラレルな関係です。アメリカ人の肥満はこの、二、三十年で倍増し、いまや三人に一人が肥満体です。私たちAGE(最終糖化産物)の研究者の立場からひと言、言わせてもらえれば、フルクトース・コーンシロップを多く含んだ飲料水はなるべくさけてほしい。ブドウ糖の10倍もの速さでAGEをつくっていくので、AGEもたまりやすい。AGEは、皮膚や目、骨などの老化を促進しますし、動脈硬化やがん、アルツハイマー病にも関わります。さらにメタボリック・シンドロームも起こします。ご存じのように、メタボは内臓に脂肪がたまって肥満になり、高血糖や高血圧、脂質異常を引き起こし、動脈硬化や糖尿病などの病気になりやすい。
(山岸昌一久留米大学医学部教授)
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こ、こわい

清涼飲料水は飲まんとこ・・・