政府は2016/6/14の閣議で、外務省の新しい事務次官に、杉山晋輔外務審議官を起用。

外務省の斎木昭隆事務次官の退任に伴うもの。
 
杉山晋輔氏(63歳)

愛知県出身。父は国際法学者杉山茂雄。
東京教育大学附属中学校・高等学校。
2011年外務省アジア大洋州局長に就任。

2012年に中国当局の船が尖閣諸島の日本側海域に入ったことに対し、在日本中国大使館の韓志強公使に、電話を通じて「日本の領海への侵入は容認できない」との抗議を行った。

昭和52年に外務省に入り、アジア大洋州局長などを経て、平成25年6月から、政務担当の外務審議官を務めた。

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杉山晋輔氏は20年近く前「週刊ポスト」1997年3月7日号で外務省機密費「2億円着服疑惑」男としてスクープされている。

外務省には、年間50億円を超える機密費が事実上ノーチェックで認められている。具体的には、当時、機密費流用の中核にいたのは元次官秘書官で「外務省若手課長の中でもエース格で、将来の事務次官候補とみられている総合政策局のS課長」が2億円以上の機密費を遊興費などに使ったという内容だ。
 
当時、田中真紀子氏が外務省を「伏魔殿」と称し、徹底改革を約束して世論を味方につけた。結果、この松尾事件では、松尾克俊被告が懲戒免職となり、裁判で懲役7年6か月の有罪判決を受けた。

外務省では、歴代次官や官房長、大使、審議官ら大物20人が減俸、訓戒、厳重注意などの懲戒処分を受けた。しかし、彼らはやがて何もなかったかのように復活し、要職を務めた。松尾氏1人が責任を取らされた形。

松尾受刑囚は、出所後はひっそり暮らし、最近の動静も不明だが、同書は「私は外務省と松尾氏の間に裏取引があるとにらんでいる。松尾氏が刑務所から出てきた後、外務省は必ず面倒を見る」と憶測している。機密費流用という点で、S氏と松尾氏の暗躍は同根だった。
 
「週刊ポスト」のスクープが今になって関心を呼ぶのは、同誌の機密費疑惑の中心人物だったS課長が杉山晋輔氏。

「週刊ポスト」が伝えた杉山晋輔氏の機密費流用の実態
 
「東京・向島の料亭街では、杉山氏は知らぬ者がいない有名人だ。人目を引く羽振りの原資は外務省機密費。料亭の請求書は斉藤邦彦次官名で決済され、支払われた。他の幹部の請求書の肩代わりまで行っていた。杉山氏と親しい幹部が使った遊興費の請求書を受け、やはり斉藤次官名で機密費から精算した。斉藤次官が1晩に4~5軒の料亭で宴席を張ったことになっている日もある」
 
「杉山氏が秘書官時代の1年半に使った機密費の総額は、実に2億円を超えた。銀座の高級クラブ、料亭だけでなく、ホテルニューオータニのレストランの請求書明細には、お子様ランチがあり、外交工作に使われたとは思えないものまで含まれている」
 
「杉山氏はマスコミ対策にもぬかりはなかった。機密費から料亭やクラブ代、ゴルフ代を請求する理由書には、接待相手として外務省記者クラブに属する大手メディア4社の4記者の名が頻繁に登場する」
 
97年当時、外務省には「報償費」と呼ばれる機密費が約55億円あり、出先の在外公館分が36億円、本省分が約19億円だった。

次官秘書官にすぎない30代の1官僚が1日に何件もの料亭で宴会を開き、2億円以上も1人で使えるはずがない。

疑惑を強めた会計検査院あたりが同誌にリークし、反応を見ようとした可能性がある。

新聞社が後追いしなかったのは、自社の記者が機密費接待を受けた事実が暴露されるのを恐れたためだろう。
 
杉山氏は機密費から流用した2億円ものカネをドブに捨てるがごとく浪費していた。

「週刊ポスト」によれば、ある料亭では、裸になって肛門にろうそくを立て、座敷中を這いまわる「ろうそく遊び」に興じていたという。

さらに、タクシーに乗り放題だったことから、タクシー代より安上がりといって専属公用車を支給されていたという。