参院選1票格差 きょう最高裁判決
2014/11/26  5時52分

■参院選1票格差 きょう最高裁判決
去年の参議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に最大で4.77倍の格差があったことが投票価値の平等を保障した憲法に違反するかが争われた裁判で、最高裁判所大法廷が2014/11/26、判決を言い渡される。

・2013/7参議院選挙は、選挙区ごとの1票の価値に最大で4.77倍の格差があり、2つの弁護士グループが、投票価値の平等を保障した憲法に違反すると主張して、選挙を無効にするよう求めている。

■「1票の格差」とは
有権者は住民票がある選挙区で1票を投じます。
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同じ1票でも選挙区によってその価値が違う。

【例えば】
有権者

東京都 約1,077万人 ※1議席当たり約215万人
鳥取県 約48万人   ※1議席当たり約48万人 →東京都の有権者の1票に比べて4.47倍の価値
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どの選挙区から選ばれた議員も、国会の場では、同じ権限

「1票の格差」が大きい状態を放置すれば

国政に有権者の民意が正確に反映されなくなる


■「違憲」と「違憲状態」の違い

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違憲
「すべての法律・命令・規則・処分その他は、憲法に違反してはならず、法が違反している場合、原則としてその法は無効。」

違憲状態
「違憲とまでは言えない。合憲に含まれる。でも違憲の状態。合理期間内に是正されなければ違憲とされる。」
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「違憲」と言い切らずに「違憲状態」と言うのはなぜか?

このような選挙を無効にすることを求める訴え(社会に大きな影響を与える)では
裁判所は2段階で審理を進める。

①第一段階 「憲法違反の状態か?」
「選挙当日、選挙区の間で生じた格差が著しく不平等だったかどうか?」

②第二段階 「憲法違反の状態を是正しようとちゃんと取り組んだか?」
憲法では選挙制度は法律で決めると定めている。

国会はどのような選挙制度を採用するか大きな裁量を持っている。
↓ 
選挙制度を変えるには、政党や議員の間で考えが異なるため、意見を調整するのに時間がかかる。

 第2段階の検討では
「違憲状態」の選挙が実施されるまでに、国会がどれくらい真剣に格差是正に向けて取り組んだのか、また、どのくらいの期間、選挙制度を検討する時間的な余裕があったのか?を見極める。

その結果、「十分に時間があったにもかかわらず、漫然と放置した」とされれば

「憲法違反」「違憲」という判決が出る

しかし
↓ 
これまで参院選で「違憲判決」がでたことは1度もない

たぶん、今日の判決も「違憲状態」というお茶を濁した判決が出るのであろう・・


■過去の最高裁判決例~一票の格差と最高裁判決
対象選挙 投票日 判決日 格差 判決
1962年参院選 1962/07/01 1964/02/05 4.09 合憲
1971年参院選 1971/06/27 1974/04/25 5.08 合憲
1972年衆院選 1972/12/10 1976/04/14 4.99 違憲※
1977年参院選 1977/07/10 1983/04/27 5.26 合憲
1980年衆院選 1980/06/22 1983/11/07 3.94 違憲状態
1980年参院選 1980/06/22 1986/03/27 5.37 合憲
1983年参院選 1983/06/26 1987/09/24 5.56 合憲
1983年衆院選 1983/12/18 1985/07/17 4.40 違憲※
1986年衆院選 1986/07/06 1988/10/21 2.92 合憲
1986年参院選 1986/07/06 1988/10/21 5.85 合憲
1990年衆院選 1990/02/18 1993/01/20 3.18 違憲状態
1992年参院選 1992/07/26 1996/09/11 6.59 違憲状態
1993年衆院選 1993/07/18 1995/06/08 2.82 合憲
1995年参院選 1995/07/23 1998/09/02 4.97 合憲
1996年衆院選 1996/10/20 1999/11/10 2.30 合憲
1998年参院選 1998/07/12 2000/09/06 4.98 合憲
2000年衆院選 2000/06/25 2001/12/18 2.47 合憲
2001年参院選 2001/07/29 2004/01/14 5.06 合憲
2004年参院選 2004/07/11 2006/10/04 5.13 合憲
2005年衆院選 2005/09/11 2007/06/13 2.17 合憲
2007年参院選 2007/07/29 2009/09/30 4.86 合憲
2009年衆院選 2009/08/30 2011/03/23 2.30 違憲状態
2010年参院選 2010/07/11 2012/10/17 5.00 違憲状態
2012年衆院選 2012/12/16 2013/11/20 2.43 違憲状態
 
※過去衆院選で2回「違憲判決」が出ている。 

ちなみに
1972年の衆院選の違憲判決では選挙無効を回避した。

↓その理由
「無効にしてもその選挙区の選出議員がいなくなるだけ。
公選法の改正など(有権者の代表である)議員がいない異常な状態で行われ、憲法上望ましい姿ではない」